VCによる付加価値の提供

VCはスタートアップに資金を投資するとともに、そのスタートアップの成長を支援することが期待されています。それぞれのVCがどのような支援を得意とするかは、VCあるいはその担当パートナー個人によって異なります。そのため、VCが他のVCとシンジケーションを組んで投資をするのは、その投資先への支援を多様化することがその理由の1つと言われています。特に資金調達ラウンドを主導するリードインベスターとなるVCの担当パートナーは、投資実行後に取締役に就任することが多くハンズオンでの支援が期待されます。取締役会の構成はステージによって変わってきますが、海外では経営陣の取締役は少数で、資金調達ラウンドを重ねるたびにVCから就任する社外取締役が増えていきます。加えて独立系の社外取締役が数名就任するケースもあります。
VCの投資先に対する支援はさまざまな形態があると思いますが、例えば下記のようなものが考えられます。
(1) 戦略的アドバイス
(2) 日々のオペレーションへのアドバイス
(3) 投資家の紹介
(4) 経営陣・社員の採用
(5) 顧客・パートナー企業の紹介

(1)と(2)については、VCのパートナーの個人的な経験にかなり依存すると思われますが、VCのパートナーに起業家の経験があればより有益な支援ができるものと思われます。(3)については、一般的にVCとしてかなり得意な支援ではないかと思います。過去に一緒に投資をしたスタートアップが成功した場合に、そのVCと再度一緒に仕事をするということもかなり多いかと思います。(4)についてはVCの人的ネットワークにかなり依存する支援ではありますが、特にステージの早い段階では経営陣の採用でVCがかなり関与するケースもあります。(5)についてもVCの人的ネットワークに依存しますが、ここはリードインベスターだけではなくすべてのVCに期待される支援ではないかと思います。海外ではマーケティング、人材採用等の専門家を社内に配置してフルサービスで専門的な支援をするVCも現れています。
CVCが投資先に提供できる付加価値は、リードインベスターになることが少ないという前提で考えると、上記の(5)も含めた事業面での支援ではないかと思います。その前提として財務情報も含めた基本的な情報を収集して投資先の経営状況を正確に把握するとともに、投資先のかかえている課題を認識することが重要です。あらゆる支援は投資先の課題解決につながっていることが必要であると考えられます。親会社と事業分野が近い場合は(1)も含め関連する情報提供やビジネスユニットとの連携等が期待されます。そうでない場合は(3)や(5)を中心に投資先を支援することが考えられます。