CVCにおけるFoFの活用

ファンド・オブ・ファンズ(FoF)は年金基金のような大規模な機関投資家のニーズに応えるために考え出されました。機関投資家は資金をさまざまなアセットクラスに投資をして運用しますが、VCファンドへのアロケーションはそれほど大きくありません。また、VCファンドはリスクが高いだけでなく、そのリターンも一貫性に欠けるという問題があります。VCファンドのリターンはボラティリティが非常に高く、予測可能な動きを期待する投資家にとっては問題となり得ます。機関投資家にとってFoFは下記のような利点があります。
・投資対象選定における効率性
・有望なVCファンドへのアクセス
・複数のVCファンドへの分散投資
・高い費用対効果(VCファンドへのLP出資に比べ低い運用手数料)

VCファンドは、投資ステージ、分野、地域などでさまざまなファンドが存在し、VCファンドへのLP出資により比較的少額の投資を分散させるのは機関投資家にとっては大きな負担となります。また、コスト構造は通常のVCファンドでは成功報酬が20%程度、管理報酬が2%程度であるのに対し、FoFは成功報酬が5%程度、管理招集が0.75%程度であり、機関投資家にとってはVCファンドの選定、管理をアウトソーシングするコストしてはメリットがあります。
FoFは、実績のあるVC重視、シードあるいはマイクロVC重視、投資地域重視などさまざまなFoFが存在しており、LP出資をしているVCファンドとのかかわり方もFoFによって異なります。あるFoFでは、FoFのLP、VCファンド、VCファンドのポートフォリオ企業という利害関係者への付加価値提供を重視しており、FoFのLPである大企業をVCファンドのポートフォリオ企業に紹介するという活動を積極的に行っているところもあります。

CVCの投資の形態としては、下記の3つが考えられます。
(1) スタートアップ(SU)への直接投資
(2) VCファンドへのLP出資
(3) FoFへのLP出資

SUとの関係の深さという意味では、当然(1)>(2)>(3)となり、(1)ではSUを通じた市場の洞察をかなりの粒度で観察することができますが、投資できるSUの数が限られるためカバーできる分野、地域などの範囲は限定的となります。一方で、もう少し俯瞰的にVC市場を観察したいなど全体的な動向を把握するために必要な情報量は、(1)<(2)<(3)となります。FoFを通じてVCファンドの取り組みを把握できるため、その中で自社の戦略との適合性が高いVCファンドがある場合には、次のステップとしてそのVCファンドへのLP出資を検討することも考えられます。(1)は限られた数のSUとの深い戦略的関与、(2)は特定のVC(GP)の持つネットワークやディールフローへのアクセス、共同投資機会の確保、(3)は単一の構造の中での広範囲な情報収集という目的に沿った投資形態を見ることができるかもしれません。自社のCVCの体制にもよりますが、直接投資、VCファンドへのLP出資に加え、FoFの活用もCVCの目的によっては有効であるケースもあると思われます。