10年間はVCファンドの標準的な存続期間となっており、通常はGPの裁量で最長2年間延長できるオプションが付与されています。10年間のいう存続期間では、GPであるVCとLP出資者の目標を一致させ、最終的なゴールを設定し、そのタイムラインを念頭に置きながら、各当事者が資本をより効率的に管理することを可能することが期待されています。通常のVCファンド、特に多くのユニコーン企業を輩出している海外のVCファンドでは、以前はスタートアップへの投資からイグジットまでの期間が、VCファンドの存続期間である10年間に収まっていましたが、最近は成長するスタートアップの中には未上場である期間を長く設定しイグジットであるIPOを先送りするケースが増えており、特にユニコーン企業にその傾向があるようです。一般的にVCファンドのリターンは、そのファンドのポートフォリオ企業のうち少数の企業に集中するというロングテール型の構造をしていることが知られています。リターンの源泉となるその少数企業がIPOも含めイグジットしないとなると、ユニコーン企業はファンドの残存価値のかなり大きな割合を占めていることあり、ファンドの運営上の大きな課題となります。これに伴い、最近ではVCファンドのイグジット戦略も多様化してきているようで、スタートアップ側も未上場の状態を継続するために投資家あるいは従業員に対して新しい株式流動化の選択肢を用意することもあるようです。ファンドの存続期間を10年間を超えて設定するVCや存続期間のないオープンエンド型のファンドに移行しているVCもあり、VCファンドの仕組みも過渡期にあると言えるかもしれません。
CVCをファンドで行っている場合は、通常のVCファンドと同じようにファンドの存続期間中に保有株式を流動化する必要があります。戦略リターンが高い場合には、通常のVCファンドにはないイグジットのオプションとしては親会社に売却あるいは親会社がM&Aするというケースが考えられます。本体投資でCVCをしている場合は、ファンドの存続期間のような期限の制約がないためイグジット戦略の自由度は高くなります。数年前に米国のあるCVCがポートフォリオの一部をセカンダリーで売却すると発表して話題になったことがありますが、未上場で戦略リターンの小さい投資先については優先順位をつけてセカンダリーで売却して財務リターンを実現し、回収した資金を再投資に回すことによりポートフォリオを組み替えていくということも考えられます。上場株式についてはいつでも現金化できるため、戦略リターンを考慮しながら継続保有も視野に入れ目標として設定されている財務リターンを実現していくということも考えられます。