海外VCファンドの存続期間

VCファンドの標準的な存続期間は10年間となっているケースが多く、通常はGPの裁量で最長2年間延長できるオプションが付与されています。10年間という存続期間では、GPであるVCと出資者であるLPの目標を一致させ、最終的なゴールを設定し、そのタイムラインを念頭に置きながら、各当事者が資本をより効率的に管理することを可能することが期待されています。通常のVCファンドのタイムラインは下記のようになっています。
(1) 1~5年目:初回投資を実行し、組み入れを完了する
(2) 5~10年目:ポートフォリオ企業の成長を支援し、エグジットの機会を探る
(3) 10年目以降:残りの投資を回収し、収益を分配する

このような構造は、予測可能な期間内に資本の返還を望んでいるLPのニーズに合致していました。この有限の存続期間は、IRRに基づくパフォーマンス測定を可能とし、LPは受け取った分配金を後続のファンドに再投資することができました。これまでは、スタートアップへの投資からエグジットまでの期間が、VCファンドの存続期間である10年間に収まっていましたが、最近は成長するスタートアップの中には未上場である期間を長く設定してエグジットであるIPOを先送りするケースが増えており、10年間ではエグジットまで収まらないケースが多くなってきました。特にバリュエーションの高いユニコーン企業にその傾向があるようです。一般的にVCファンドのリターンは、そのファンドのポートフォリオ企業のうち少数の企業に集中するというロングテール型の構造をしていることが知られています。リターンの源泉となるバリュエーションの高い少数の企業がIPOも含めエグジットしないとなると、それらの企業はファンドの残存価値のかなり大きな割合を占めていることあり、ファンドの運営上の大きな課題となります。これに伴い、最近では海外のVCファンドのエグジット戦略も多様化してきており、継続ファンド、セカンダリー取引、オポチュニティファンドなどを組成するケースもあります。スタートアップ側も未上場の状態を継続するために投資家あるいは従業員に対して新しい株式流動化の選択肢を用意することもあります。ファンドの存続期間を10年間を超えて設定するVCや存続期間のないエバーグリーンファンドに移行しているVCもあり、VCファンドの仕組みも過渡期にあると言えるかもしれません。

CVCをファンドで行っている場合は、通常のVCファンドと同じようにファンドの存続期間中に保有株式を流動化する必要があります。戦略リターンが高い場合には、通常のVCファンドにはないエグジットのオプションとしては親会社への売却あるいは親会社がM&Aするというケースが考えられます。本体投資でCVCをしている場合は、ファンドの存続期間のような期限の制約がないためエグジット戦略の自由度は高くなります。数年前に米国のあるCVCがポートフォリオの一部をセカンダリーで売却すると発表して話題になったことがありますが、未上場で戦略リターンの小さい投資先については優先順位をつけてセカンダリーで売却してエグジットすることも考えられます。上場株式についてはいつでも現金化できるため、将来の成長の余地や戦略リターンの有無を考慮しながら売却の優先順位を設定し、売却による収益を再投資に回すキャピタルリサイクルを行い、ポートフォリオを組み替えていくこともできます。